VOL.40 獣医の日記

この冬は暖冬でしたが、暖かくなるのも心なしか早く、動物たちの春の渡りやうごめきも早いような気がします。 暖かくなると出てくる動物のひとつが蚊です。今年は4月半ばには飛び回っておりました。 蚊に刺されるとかゆくて不快なだけでなく、衛生害虫と呼ばれ、蚊が媒介する病気が深刻です。人間ではデング熱や日本脳炎などのウイルスが有名ですが、赤血球に寄生するマラリア、血管に寄生するフィラリアなどの寄生虫も運びます。血を吸われるときに、病原体を動物に感染させていくので、水場が多く、屋外で過ごす動物が多い動物園にとっては嫌な存在です。しかし、たとえばフィラリアであれば、蚊に刺されて動物の体の中に侵入した子虫を薬で殺すことができるため、レッサーパンダたちは蚊の季節は毎月1回薬入りのリンゴを食べることで健康を保っています。現在 4頭いるパンダのうち、3頭は上手にりんごを片手でつかんで食べるのですが、ケイコはまだまだ下手っぴなため、薬を上手に食べられるか心配です。ただし、血を吸わない種類の蚊もいます。血を吸う種類であっても、メスが産卵準備の時期に吸うだけです。それも、気温が15℃を超えてこないと吸血しないと言われています。…とわかっていても、飛んでいるのを見るだけで警戒してしまうのですが。 ちなみに、リスザルやオマキザルたちは、しばしば涼しい顔をして蚊を片手でキャッチしています。動体視力も反応の速さも、かないません。

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